ホルムズ海峡問題の長期化リスクに備える

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ホルムズ海峡問題で中東の地政学リスクが増大

ホルムズ海峡問題を巡り、世界的に緊張が高まっている。2019年6月17日には日本のタンカーが攻撃を受け、さらに同年7月20日には英国のタンカーがイランにより拿捕されたと報じられた。こうした事態を受け、トランプ米政権は、中東地域に約1000人の米兵を追加派遣することを決め、英国は欧州各国と共同で、ホルムズ海峡付近を航行する船舶の安全を確保する作戦を展開する方針を発表した。

ホルムズ海峡はエネルギー資源の生命線

ホルムズ海峡は中東産の原油や天然ガスを運び出すうえで、「チョークポイント」(海上を制するうえで戦略的に重要となる水路)と呼ばれる非常に重要なルート。米国エネルギー情報局(EIA)によると、世界の約2割に相当する原油および石油製品がホルムズ海峡経由でタンカーで運ばれる。仮にホルムズ海峡が封鎖されると、エネルギー資源の供給が大幅に滞ることから、ホルムズ海峡はエネルギー資源輸送においての「生命線」と言える。

出所:EIA

日本の産業への影響は?

当然、日本もホルムズ海峡問題からの影響は免れない。直接的に影響を受ける産業や企業としては、原油や液化天然ガス(LNG)の輸入を中東に多く依存する電力やガス会社のほか、燃料価格の上昇や海上保険料(船体および貨物保険料)の上昇により海運会社への影響が懸念される。さらに、原油やLNG価格の高騰に起因するコストプッシュインフレが起こると、日本の製造業や小売業等、幅広い産業に打撃を与えそうだ。

長期化すればユーロ安も

イランへの経済制裁や中東情勢の混乱による、欧州経済への波及的影響も警戒する必要がある。BIS(国際決済銀行)のデータによると、欧州の銀行は中東への与信エクスポージャーが比較的多い。仮に中東情勢を巡る混乱の長期化に伴い中東の債務リスクが高まると、欧州の銀行への影響に起因する欧州景気悪化の警戒感や欧州危機の再燃懸念などから、円高ユーロ安が進む可能性があろう。

各業界への影響は

業界・企業への波及効果の詳細は、経済予測SaaS『xenoBrain(ゼノブレイン)』上で確認されたい。

上図は、xenoBrainの分析結果の一部です。