始動が近づく5G、その影響は

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5G元年

5G(第5世代移動通信システム)への注目が世界的に高まっている。
5Gは、現在実用化が進められている次世代の通信システム。通信システムの世代交代はおおむね10年サイクルで起きているが、今年はちょうど次世代の通信システムに世代交代される節目にあたる。いわゆる「5G元年」だ。

5Gの最大の特徴は、通信速度の大幅な向上にある。現在使われている第4世代(4G)の通信速度は100Mbps~5Gbps程度だが、5Gでは最大20Gbps程度まで速度が向上する。分かりやすい例を挙げると、5Gが導入されることで、インターネットで動画が止まったり、音声が途切れたりすることがなくなり、より快適なインターネット環境が実現される。

出所:総務省「 2020年の5G実現に向けた取組 」

5Gサービスは、米国や英国、韓国では既に開始されている。日本でも、NTTドコモが2020年の商用化に向けて2019年9月20日に5Gプレサービスを開始すると発表、KDDIも同年9月中にプレサービスを開始するなど、今秋から5Gサービス開始に向けた取り組みが本格化する予定だ。

5Gであらゆるもののスマート化が加速

5Gでは、大幅な通信速度の向上が可能となるため、情報社会の進展に伴う爆発的な通信量の増大に対応できる。NTTドコモによると、2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量は2010年と比較して1000倍以上に増大すると予測されている。5Gは、このような爆発的なトラフィックの増大に耐えうるネットワークシステムの大容量化を、極力低コスト・省消費電力で実現できる可能性がある。

爆発的な通信量の増大に対応できる5Gは、これまで普及が限定されていた次世代型製品やサービスの普及が拡大する契機にもなる。自動運転やスマート工場、スマートコンストラクションなど、あらゆるもののスマート化、さらにそれらに伴う働き方改革など、社会や経済の大きな変革が期待される。

2兆円規模の5G投資、波及効果は甚大

5Gの導入には莫大な投資が必要になる。総務省によると、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社を合わせ、5Gへの総投資額は5年間で2兆円弱にのぼる。この規模になると、産業全体に甚大な波及効果をもたらしそうだ。

<通信会社各社の 2019年度~2024年度までの累計投資額>

NTTドコモ KDDIソフトバンク楽天モバイル
基地局投資6,600億円3,728億円 1,221億円 1,598億円
交換設備・伝送路投資 1,350億円  939億円  840億円  348億円
合計7,950億円4,667億円 2,061億円 1,946億円

【産業や企業への影響】
(1) 基地局・通信工事関連

通信会社各社による大規模な投資を背景に、基地局や光伝送装置、光関連製品を手掛ける企業や、通信工事会社などが恩恵を享受しよう。

(2) 次世代スマートフォン関連
また、スマートフォンをはじめとした携帯端末も、5G対応機種への買い替えが進むとみられる。それにより、積層セラミックコンデンサやSAWフィルタ、水晶デバイス、CMOSセンサーなどの電子デバイスメーカーや、リチウムイオン電池などを手掛ける電池メーカーの業績をけん引しそうだ。

(3) 動画サービス・広告関連
通信速度の向上により、個人や法人の動画関連サービスの利用も増えると想定される。そのため、動画広告デジタルサイネージなどを手掛ける産業や企業にも注目したい。

(4) スマート化・働き方改革関連
さらには、上述したように、自動運転やスマート工場、スマートコンストラクションなど、あらゆるもののスマート化、働き方改革に関連する、自動搬送システムやロボット、ドローン、および働き方改革ソリューションなどの市場も拡大しそうだ。

産業・企業への波及効果の詳細は、経済予測SaaS『xenoBrain(ゼノブレイン)』上で確認されたい。

上図は、xenoBrainの分析結果の一部です