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SNS解析から瞬時にリスクを検知するDatamir

Forecast Tech 研究所では、様々な予測に基づく事業を展開する企業を紹介する。

第1回は、TwitterやFacebookといったSNSの膨大なテキストデータや画像データの解析を通じ、世界中で起こる様々なイベントについて、リアルタイムのアラートを可能としたDataminr(データマイナー)を紹介したい。

多くの金融機関が導入、未然のリスク検知に活用

Dataminrは2009年に設立、これまで累計$577Mの資金調達を完了、現在の企業評価価値は約$1.6Bとされており、いわゆるユニコーン企業としての評価を得ている。投資家には、フィデリティ投信やゴールドマン・サックス証券、クレディ・スイス、米国で未上場株式の流通プラットフォームを運営するEquityZen等の金融機関が名を連ねる。

Dataminrは、自らが提供するサービスを「Real-Time Information Discovery」と称する。SNSの膨大なテキストデータや画像データの解析によって、特定のイベントがニュースとして報道されるよりも早く、ユーザーへの通知を可能としている。実際のクライアントについては開示されていないものの、多くのセルサイド、バイサイドを中心とした金融機関が導入しているとされ、ユーザーは、事前に自身のポートフォリオや関心領域等を登録することによって、自身の業務や投資先に関連のあるアラートのみを受け取ることができる。

ディーゼルゲートのきっかけとなる自動車スキャンダルもアラート

Dataminrの企業サイトでは、これまでに実際に報道より早くアラートを挙げた事例が実績として掲載されているが、これが興味深い。2017年8月、フォルクスワーゲンがディーゼル車に不正排出ソフトウェアをインストールしていたことが発覚した。これはのちにダイムラー、BMW等も巻き込み、「ディーゼルゲート」として知られ、現在の欧州排ガス規制議論の発端ともなった一大スキャンダルへと発展するのだが、Dataminrは、マスメディアによるニュース報道の約4時間前には、自動車業界に関連する全てのクライアントに対して、リスクアラートを配信していたという。この他にも、2017年10月、韓国によるビットコイン規制について、ビットコイン価格急落の直前にアラートを発信した事例や、2017年12月、オーストリアのガス関連施設が大規模な爆発が発生、周辺国への供給が途絶えた際にも、ガス会社の公式発表の約1時間半前に、本件のアラートをユーザーに対して発信していたとしている。

Dataminrの企業サイトでは、これまでに実際に報道より早くアラートを挙げた事例が実績として掲載されているが、これが興味深い。2017年8月、フォルクスワーゲンがディーゼル車に不正排出ソフトウェアをインストールしていたことが発覚した。これはのちにダイムラー、BMW等も巻き込み、「ディーゼルゲート」として知られ、現在の欧州排ガス規制議論の発端ともなった一大スキャンダルへと発展するのだが、Dataminrは、マスメディアによるニュース報道の約4時間前には、自動車業界に関連する全てのクライアントに対して、リスクアラートを配信していたという。この他にも、2017年10月、韓国によるビットコイン規制について、ビットコイン価格急落の直前にアラートを発信した事例や、2017年12月、オーストリアのガス関連施設が大規模な爆発が発生、周辺国への供給が途絶えた際にも、ガス会社の公式発表の約1時間半前に、本件のアラートをユーザーに対して発信していたとしている。

SNS解析によるリスク検知は日本でも今後トレンドとなる見込み

技術的には、高度な自然言語処理技術と、画像診断技術が応用されているものと推察されるが、自然言語処理×SNS解析×金融領域という分野において、ユーザーニーズに真にフィットするサービスへと昇華されているといえるだろう。言語の障壁もあり、日本のSNS等はサービスに含まれていないと思われる。

日本においては、JX通信というスタートアップが同様のアプローチを用いた事業を展開している。顧客には多くの報道機関が名を連ねており、SNSの解析を通じていち早く情報を把握し事業へと活用するアプローチは、今後日本でもトレンドとなることが予測される。

※本週刊金融財政事情10月21日号掲載の弊社コラムを一部改訂して掲載しております。

将来予測『Forecast Tech』サービスが熱い!背景と事例を解説

なぜ今次々とForecast Techサービスが登場するか

Forecast Techとは、元々「Forecast」と「Technology」を掛け合わせた造語であり、テクノロジーによって何らかの予測を行うことを指します。

テクノロジーの急速な発展を背景に、Forecast Tech分野は海外では一足先に大きな盛り上がりを見せており(海外ではPredictive Analysisと呼ばれる)、経営、医療、犯罪等、あらゆるシーンで実用化が進んでいます。

Forecast Techに挑戦する企業たち

Forecast Techは、利用者側からすると漠然とした期待感がある一方で、

・将来予測そのものはすごいけど、本当に当たるのか?

・予測の根拠は?信頼に足るものなのか?

・予測結果が間違っていたら誰が責任を負うのか?

といった不安感から導入に至らないケースもあるのが現状です。

AIによる将来予測は、基本的に膨大な過去データの分析を基に行われます。

例えば、商品の需要予測を行う場合には、在庫数、欠品状況、気象、店舗立地等のデータと販売データの関係性を解析し、現在の情報に適用することで、将来の商品需要を予測します。

この分析を可能にしている技術が、将来予測の材料となる”データ”に関する3つの分野「収集、貯蔵、解析」の進歩です。

5GやIoT等による収集や、データの貯蔵技術等、AIが将来予測を行うための技術は日々進歩しており、今後も予測精度が上がると見込まれます。

米国では既にスタンダードになっているForecast Tech分野

AI活用の先進国である米国では、次々に将来予測サービスが社会実装されており、今やなくてはならないサービスとなっています。

ユニコーン企業である”Dataminr”はSNSの膨大なテキストデータや画像データの解析を通じ、ニュース報道よりも早く顧客に届けることで、災害対応やサプライチェーン改善、ビジネスチャンス発掘等に役立てられています。

例えば、地域災害に関するSNS発信から防災や調達先の切替に向けた行動を促す、経済指標に影響を与える政治トピックを政治家のSNSから拾い上げる等、シーンを選ばず顧客に価値ある予測情報を届けるサービスが、ユニコーンとしての評価につながっています。

Google傘下でAI技術の最前線を走る”Deepmind”は、電力需給予測の他、近年ヘルスケア分野に注力し、画像診断やたんぱく質の解析による病気発症予測を行っています。

患者の医療情報取扱い等、克服すべき課題は多いものの、多くの疾患を防げる可能性があるため大きく期待されています。

他にも、犯罪予測が司法で活用される等、使用の是非すら問われかねないサービス導入も進んでおり、AIの活用方法を試行錯誤しながら、享受していく意識の高さが伺えます。

日本におけるForecast Tech

総務省らによる調査「日本企業のAI・IoTの導入状況(2019年)」によると、日本の大企業のAI導入率は10%台と遅れていますが、Forecast Tech分野等を中心に大手企業による積極的な投資や、研究開発が進んでいます。

Sonyが2019年6月に発表した予測分析ツール「Prediction One」は、データがあれば『誰でも簡単に』予測分析ができる点に特徴があり、注目を集めています。

予測結果に対する予測理由も同時に提供するとのことであり、手軽に将来予測を利用できるサービスとして、幅広い業種に使われる可能性を秘めています。

スタートアップ企業でも、予測技術を開発するための資金調達が増加や、AI人材の流入が増えており、株価予測、商品需要予測、設備の故障予測等、既に実用化に至ったサービスも増えており、社会や企業の価値創出に役立ち始めています。 日本でも、今後将来予測が役立ち始めることで、価値が徐々に理解され、日々の生活・事業活動に浸透し、大きな進化を遂げていくことが期待されます。