先端技術を磨き、あらゆるマーケットの予測を実現するデータサイエンス集団:AlpacaJapan株式会社の予測サービスを掘り下げる

106

Forecast Tech企業インタビュー記事第一弾は、データサイエンスの多様な技術を駆使し、プロ向けにマーケット予測を提供する会社、AlpacaJapan株式会社(以下、「AlpacaJapan」) CPO/Head of R&Dである北山 朝也氏(お役職はインタビュー当時)に、AlpacaJapanが実現する予測サービスの詳細について語っていただきました。

提供サービス概要

Alpaca Forecast
予測対象:主要為替通貨ペア
利用事業者:機関投資家、事業会社、ヘッジファンド
利用シーン:為替トレーディング
主要利用技術:ディープラーニング、機械学習

Alpaca Radar
予測対象: 日本株、米国株、海外債券
利用事業者:機関投資家、ヘッジファンド
利用シーン:資産運用における収益獲得、アセットアロケーション調整
主要利用技術:ディープラーニング、機械学習

―まずはAlpacaJapanという会社について、何を実現する会社なのか教えてください

 データサイエンス技術を使ってマーケットの予測をする会社です。ディープラーニングが主ですが、ディープラーニングだけにこだわらず、ありとあらゆる最新技術を使って予測しています。

 サービスの提供先は主に機関投資家で、ビジネスモデルは大きく2つ分けてあります。一つはお客様と共同研究をする形で技術を提供するモデル、もう一つは自社が作ったシグナルを月額で提供するモデルで、「Alpaca Forecast」と「Alpaca Radar」という2つのサービスがあります。Alpaca Forecastは、5分~60分以内のプライスを予測するサービスで、Bloomberg端末上App storeと呼ばれるアプリストアやWebで提供しています。常に画面を開きっぱなしにして使っていただくイメージですね。Alpaca Radarは最長3ヶ月の様々なアセットの予測をするサービスで、今は毎朝のメールでレポートを提供しています。

ヘッジすべきリスクを収益のチャンスへ変換

― シグナルは主にどのようなシーンで利用されているのでしょうか

  Alpaca Forecastは為替のプロップトレーダー(自己売買)以外にも細かいニーズがあり、為替ヘッジのオペレーションのためなどにも使っていただいています。例えば元々100億円分のドルを購入したい場合購入タイミングを1時間ごとに10億円ずつなど均等にずらしていくことで、平均価格で購入するオペレーションをしていたが、Alpaca Forecastを導入する事で、タイミングを見定めて為替変換する事で収益につなげられるような事例もでています。

―どのような仕組みで予測を実現しているのですか?

 Alpaca Forecastは「ティック」、つまり1秒間に100回など非常に細かい粒度で発生する大量のプライスのビットとアスクのデータの分布や偏りを分析する事で需給を予測しています。技術的にはディープラーニングを使い、「こういうパターンが発生している時は上がる」というような需給の情報を学習し、値動きを予測しています。ニューラルネットワークとしては、画像認識で良く使うCNN(畳み込みニューラルネットワーク)技術を使い時系列用に応用しています。

世界中のグローバルアセットから、安定的な先行指数を自動選出して予測を算出

―次に長期予測サービス、Alpaca Radarについて教えてください

  Alpaca Forecastが5分~60分以内のプライスを予測するのに対し、Alpaca Radarは最長3ヶ月の様々なアセットの予測を対象にしています。具体的には日本株、米株、海外債券などですが、特に債券マーケットは株・為替マーケットより合理的に動くという印象を持っています。債券は債券先物などでトレードできますが、予測を使ったトレーディングで収益を追求するだけでなく、ポートフォリオに対するリスクヘッジとしての使い方なども多いです。債券予測は重要な基礎技術として特に磨きをかけています。

 仕組みとしては、世界中のあらゆるマーケットデータから、対象とする金利指数に対して安定的に動作する先行指数を探索し、予測モデルを自動的に構築するシステムを作っています。直近10年間で先行指数として最も安定的にワークしたものを選び、その効果を足し合わせて予測を作っています。

―予測精度を上げるためにはどんな事をされていますか?

 大量の仮説を立てて、一つ一つ潰すという事をしています。例えばティックデータもスプレッドやBID/ASKをどういう分布を仮定して学習させるか様々なアイディアがあります。値動きを学ばせるときに、モデルに対して「どういう風にマーケットを見るべきか」という仮定を置かなければいけません。本来、ディープラーニングの強みはそのような仮定を置かずとも仮定自体を発見するという強みがあるのですが、マーケット予測におけるディープラーニングでは、画像認識などと違いデータ量が少ないため、どのように世界を切り取るかという仮定を人間が考えないといけません。

世界一の技術があればビジネスモデルは後からついてくる

―今後の方向性について教えてください

 今後は予測モデルのブラッシュアップと、未来に向けてありとあらゆるアセットを予測できる技術を揃えていくというのが我々の第一目標ですね。世界一の技術を持ってしまえばビジネスモデルはあとからついてくるという思想で、技術を磨く事に全ベットしているような会社です。

―最後に、新しい分野Forecast Techについての今後の期待など、一言いただけますでしょうか。

 Forecast Techには、元々予測できているものについて、さらに精度を高めていくものと、元々予測出来ていないものが予測可能になるものと2種類あります。事業会社は、「これを予測できたら本当に利益になる」という分野を抱えているのではないかと思いますが、その分野の予測が実際に出来てきたときに、内部オペレーションの整備に数年かかるような場合もあり、「長い目で見たときにこの事業が発展していくので、先行投資しておこう」という判断をする事はトップのビジョンが必要で、実際とても難しい事だと思いますが、そのような取り組みにチャレンジする会社がどれくらい出てくるかがForecast Techが盛り上がるかどうかのポイントになると思います。

筆者コメント
データサイエンスの力でありとあらゆるアセットの高精度な予測に挑むAlpacaJapan社から、予測を実現する技術部分など深いお話を伺う事ができました。「ビジネスモデルは後からついてくる」と、ひたすら技術に磨きをかける同社の予測テクノロジーに今後も注目していきたいと思います。AlpacaJapan 北山様、大変ありがとうございました!